光一さんの舞台に密着したドキュメンタリーの2つ目がこの番組になりますね。
以前のNHK「すべてはステージのために」は演者としての光一さんにフォーカスした内容だったと思います。
あの一幕のあと、血のりまみれの光一さんが支えられてエレベーターに乗り込むシーンは確かに衝撃的でしたし、それによってあまり知られていなかった「SHOCK」ならびにそこに出演している「堂本光一」の姿がファン以外の多くの人に知られるようになりました。
この放送は2010年でしたから、もう10年前ですね。
今回の「RIDE ON TIME」では名実ともに「演出」となったことで「演出家」としての光一さんにフォーカスしています。
この中で、他の舞台に出たいと思ったことは?という質問に対して、光一さんはあのメリーさんの発言で答えていました。
すなわち
「帝劇という劇場と”SHOCK”という舞台を背負っているあなたが、他の舞台に出ることは、その看板を傷つけることになる」と。
この言葉を聞いた時、光一さんをあまりに見くびっている、と私は本当に腹が立ちました。
ただ、光一さん自身は自分の未熟さや足りないところを(ある意味必要以上に)謙虚に認めることが出来る人だけに、
「帝劇は望んでも立てる場所ではない」と言い、
外部に舞台に出ることは
「贅沢なことかなあ、それを望むのは失礼なことじゃないかなあ」と思うようにしてきたと言っています。
光一さんのこういうところが、素敵なところでもあり、ファンにとってはもどかしいところでもあります。
さらに自分たちにしかできないものを作りなさい、というジャニーさんの言葉をあげて、その点には誇りを持っている、とも語っています。
そうして「SHOCK」という作品を愛して欲しい、出演者全員に好きになって欲しいと言っています。
光一さんという人は、自分が前に出たいと思う人ではありません。
むしろモノづくりの人であり、演出の細部に拘り、曲を作り、新たなセリフを考え、細かな変更を積み重ねて舞台を作ってゆく人です。
その過程がおそらくとても好きでもあって、結果、舞台は年々「進化」してゆくのです。
外部舞台への出演を封じられて、光一さんは「SHOCK」の世界に打ち込み、20年の歳月をかけて自分自身と舞台とを育て、演者としても演出家としても進化してきました。
「Endless SHOCK」は、「コウイチ」の物語であり、コウイチにしかできないフライング、殺陣、コウイチにしか踊れないダンスなど、ここでしか見られないものがたくさんあります。
だからファンは何度も何年も劇場に足を運び、コウイチに会いに行くのです。
以前にも言いましたが、「Endless SHOCK」は、いわゆる『継承』など不可能な「コウイチ」の舞台です。
・・・ただ、自分がリタイアします、となったら「SHOCK」という舞台はどうなるのか?これまで自分がやってきたことは何だったのか?
という座長の言葉はやはり心に重く残ります。
一つのヒントはこの「SHOCK」という言い方にあると私は思っていて、「Endless SHOCK」はコウイチの物語、それとは別の「SHOCK」もあるのではないか、と思うのです。
それは演出家・堂本光一が描く、ライバル役が主役の物語、同じ「SHOW MUST GO ON!」がテーマの別の物語。
そうして、その作品は、ジャニーズの枠から自由になって、キャストもジャニーズ以外で、演じられるものであって欲しいのです。
『Endless SHOCK』はやはり光一さんのものであって、私自身誰かに継承されたそれを見たいとは思いませんから。
しかし「演出家」として、舞台の作り手として、光一さんのこれまでの経験をいかした新たな「SHOCK」を作り上げることは可能だと思っています。
ただ、光一さんのファンとしてはやはり舞台の真ん中に立つ光一さんを見たい!
様々な舞台に立って役者としてその役を生き、シェークスピアや他の舞台に立つ光一さんを見たい!
仮に「Endless SHOCK」をリタイアしても、演者として立つ舞台はまだまだあるでしょう。
光一さんがそれを望むかどうかわかりませんが、ファンとしてはそういう未来を夢見ています。
それは東宝さんに身を託す、ということでもあります。
光一さんの役者としての未来と、「SHOCK」という作品並びに演出家としての未来は、ジャニーズ事務所には託せないと思うからです。
光一さんの性格を考えれば、それは叶わぬファンの夢かもしれませんが・・・。
来週の「RIDE ON TIME」後編は、この番組の最終回でもあるとか。
光一さんが何をどう語ってくれるのか、楽しみに待ちたいと思います。
ファンの願いは願いとして。
『堂本光一』は何を思い、何を目指すのか?
41歳の彼の心情を知りたいと思います。